大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(ラ)333号 決定

記録によると、本件債権差押命令及び転付命令が債務者である抗告人ならびに第三債務者である株式会社三和銀行に昭和四八年五月九日にそれぞれ適法に送達されたことが明らかである。したがって、本件強制執行手続はすでに終了し、もはや執行手続上不服申立ての余地はなくなったものというべく、本件抗告はこの点において不適法であり、その欠缺は補正できないから却下を免がれない。<中略>

抗告の理由第二について

抗告人が本件債権差押及び転付命令の基本となった債務名義である前記昭和四六年(ワ)第七〇六六一号約束手形金請求事件の仮執行宣言付判決に対し控訴を提起し、昭和四八年五月九日同判決に基づく強制執行の停止命令をえたことは抗告人主張のとおりであるが、抗告人が右停止命令の条件とされた保証金二〇〇万円を供託したのは同月一〇日であることは記録により明らかであるから、抗告人が前記債務名義に基づく強制執行を停止するための書類を執行機関に提出することができるようになるのは同日以後であることとなるところ、本件債権差押及び転付命令が債務者及び第三債務者に送達されたのはそれより前の同月九日であって、これが送達により本件債権差押及び転付命令による強制執行手続が終了していることは前示説示のとおりであるから、抗告人主張の停止命令によって本件債権差押及び転付命令を除くその他の強制執行についての執行を停止することは可能であるけれども、すでに執行処分が終了した本件債権差押及び転付命令についての執行を停止する余地はない。なお抗告人は、本件債権差押及び転付命令が発出されたときにはすでにその基本となった債務名義につき執行停止命令があったからたとい右の各命令が送達されたとしても、右送達は「効力を停止された命令」の送達としての意味しかないというが、仮執行宣言付判決に対する控訴提起に基づく執行停止命令は、執行裁判所において決定するものでなく、同決定をえた当事者が執行機関に右停止命令の正本を提出してはじめて右判決に基づく執行が停止又は制限される(民事訴訟法五五〇条参照)のであるから、同停止命令が決定されただけでは同判決に基づく執行が当然に停止又は制限されるものではない。

(久利 栗山 館)

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